ロンドンで日本語ミュージカル!? 「ヘンリー8世に2本指立てる」ってどういうこと?

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ロンドンに住んでいると、毎週のように「新しいミュージカルが話題!」というニュースが飛び込んでくる。
でも今回のは、ちょっと…いや、かなり異次元。

日本語版《SIX》がロンドンのウェストエンドで上演される。

え?
日本語?ロンドンで?
しかもあの“ヘンリー8世の6人の妻たち”が、日本語で歌って、踊って、英語字幕つきで登場?
これ、もう「逆輸入」どころか“逆チューダー革命”では。


◆まず《SIX》ってどんな作品?

《SIX》は、イギリス史上最も“やらかした王様”として有名なヘンリー8世の6人の妻たちが、
自分の不運な結婚生活をロックコンサートのように語り合うミュージカル。

それぞれの妻が“私は離婚された”“私は首をはねられた”など、
悲劇を笑い飛ばしながら歌い上げる80分。
フェミニズム、パワー、ユーモア、全部入り。
イギリスでは「女性が主役の歴史修正ミュージカル」として大ヒットしている。


◆そして今度は「日本語版」がロンドンへ逆上陸!

日本ではすでに東京・大阪・名古屋で上演されて話題沸騰。
その全日本人キャスト版が、ついにウェストエンドのヴォードヴィル劇場に登場する。

キャストは鈴木愛理さん(キャサリン・ハワード役)、菅谷真理恵さん(アン・オブ・クレーヴス役)など、
日本でおなじみのスターたち。
しかもセリフも歌もすべて日本語。
イギリスの観客は英語字幕を見ながら観るという構図。

──逆転の発想がすごい。
「いつも英語字幕で日本人が観てた側」だった私たちが、
今度は“日本語で主役を張る側”。

ちょっと感慨深くない?


◆「日本語でロンドン公演」って、どうして?

最初、ニュースを見たとき私は思った。
「なんでわざわざ日本語で? 英語でやったほうが通じるじゃん」って。

でもよく考えたら、《SIX》という作品の本質は「自分の声を取り戻すこと」。
だったら、それぞれの国の“自分の言葉”で歌うことこそ本当の意味での《SIX》なんじゃない?

制作チームも語っている。

“Six likes to be different. We often do crazy things.”
(『SIX』はいつも違うことをやりたがる。私たちはよくクレイジーなことをやるんだ。)

つまり、「日本語でロンドン」も“らしい”挑戦
これが許されるのが《SIX》の面白さ。
本物を真似するんじゃなく、自分たちの“ハー・ストーリー(Her Story)”を語ること。


◆決して“紛い物”じゃありません!

ここで声を大にして言いたい。
「え、日本語でミュージカル? それって本家の劣化コピーでしょ?」
──そう思ったあなた! ストップ!

“紛い物”じゃない。

だって考えてみてください。
ロンドンのど真ん中・ウェストエンドの劇場で上演されるって、どれだけすごいことか。
日本語のまま、イギリス人がチケットを買って観に来る。
もはや「文化の逆輸出」。
ロンドン中が「日本語ミュージカルってどんな感じ!?」とざわついてるのだ。

英語の世界で日本語が主役を張るって、
サーモンがイギリスのスーパーで「寿司用」として売られるくらい衝撃的。


◆《SIX》が伝えるメッセージ

ガーディアンの記事でも印象的だったのが、この言葉。

“We talk about it very much as the show being her-story rather than his-story.”
(これは「彼の物語」じゃなく、「彼女たちの物語」。)

ヘンリー8世という男の影で、歴史に埋もれてきた6人の女性たちが、
ついに自分たちの声で“歴史を書き換える”。
そのテーマが、日本語で語られるというのが胸熱じゃないですか。

しかもイギリスのプロデューサーはこうも言っている。

“These women are given the opportunity to stick two fingers up to Henry.”
(彼女たちはヘンリーに“2本指を立てる”チャンスを与えられた。)

要するに、「ざまぁ見ろ、ヘンリー!」っていう歴史的カタルシス。
500年越しの復讐劇を、ロンドンのステージで日本語でやる。
それだけで観る価値ある。


◆日本語でやることで見える「新しいSIX」

村田弘子プロデューサーはこう語っている。

“日本版SIXはフェミニズムを声高に叫ぶのではなく、観客が自分の中でその気持ちを感じ取る。”

このバランス感覚が、日本人らしい。
静かに、でも確実に心を動かす力。
声を張り上げなくても、芯が強い女性たちの姿を描ける。
まさに“侍スピリット×ガールズパワー”。


◆ロンドンっ子も注目中!

イギリスではすでにSNSで話題沸騰。
「#JapaneseSix」「#HerStoryInJapanese」などのタグが増えていて、
「英語じゃないのに感動した!」という口コミも。

ウェストエンドは“夢の聖地”だけど、同時に“本家のお膝元”。
そんな場所で日本語が鳴り響くなんて、
日本の舞台人にとっても、海外在住日本人にとっても誇らしいこと。


◆私の予感:この舞台、きっとロンドンでバズる!

まだ観てないけど、私は確信してる。
《SIX》の日本語版は、ロンドンでバズる。

なぜなら、

  • テーマが“自分らしく生きる女性たち”=世界共通で刺さる
  • 音楽がポップロックでノリやすい
  • 言語の壁を越えて伝わるエネルギーがある

そして何より、
日本語という異国の響きが、チューダー王朝の物語に新しい命を吹き込む。

ロンドンの観客は、もはや歌詞を理解する必要がない。
感じるだけでいい。
そういう舞台が、一番心に残るんだと思う。


◆最後に:観る前からもう誇らしい

今回の公演は、11月4日〜9日、ヴォードヴィル劇場にて上演予定。
私はもちろん観に行く。
だって、“日本語でウェストエンドに挑む”なんて、そんな誇らしいことないじゃない?

もしかしたら、観客席には日本語がわからないイギリス人が半分以上いるかもしれない。
でも彼らが立ち上がって拍手するとき、
それはもう、日本語がロンドンで世界を動かした瞬間だ。

その日を思うだけで、すでに胸が熱い。
歴史の中で脇役扱いされてきた彼女たちが、
そして“本家じゃない”と思われがちな私たちが、
堂々とステージの真ん中に立つ。

それこそが、私たちの“ハー・ストーリー”。
さあ、ロンドンで一緒にヘンリー8世に2本指立てようじゃないか。

(おわり)


《Six the Musical: Japan in the West End》
📍Vaudeville Theatre(ヴォードヴィル劇場)
🗓 2025年11月4日〜9日
🎭 日本語上演・英語字幕付き

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About the Author: ジゴロッキー

2001年よりロンドンで活動。夢は悟ること。国籍日本。解決方法:時間。

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