チャリティ・ウォーク

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こんにちは。ふあにゃんです。先日、 私がいつもお世話になっている病院が主催している Marsden March というチャリティー・ウォークに家族4人で初参加して来ました。初めて体験したチャリティ・ウォークはとても良い経験でしたので、早速ここでシェアさせて頂きたいと思います。

チャリティ・ウォークとは?

自分の応援したいチャリティ団体を支援するために、ある程度の長距離を歩くことです。チャレンジをする自分を応援してくれる友人や家族が、チャリティ団体へ寄付をしてくれることで、支援が成り立ちます。有名なチャリティ・ウォークに、Walk the Walkという乳がん支援団体が主催するMoon Walkというイベントがあります。これは夜中に歩くのが特徴です。毎年誰かが参加する話を聞きますが、一晩で26.2マイルも歩くと言うのですから、生半可な気持ちでは参加出来ませんね。

日本でもチャリティ・ウォークはあるようですね。調べてみたところ、目的はどちらかというと、そのチャリティ団体を認知してもらうためのイベントという印象を受けました。参加者が払う参加費が主な収益となって寄付されるしくみです。イギリスとは少し違いますね。イギリスでも参加費は払いますが、主な収益は友人・家族からの寄付です。

Marsden March

私がいつもお世話になっている Royal Marsden Hospital は、世界で最初に出来た癌専門病院で、ロンドンのお洒落なエリア Chelsea と、南ロンドン郊外でパッっとしないうちの近所 Sutton の二か所に病院があります。Marsden March は、その二つの病院の間の15マイルの距離を歩くイベントです。毎年3月に行われるのですが、今年は悪天候のため一旦中止になった後、5月に仕切り直しになりました。

私たちは5月のとある日曜日の朝、ウォーキングのスタート地点である、チェルシーの病院近くの公園に向かいました。この日のために参加者全員に配られているオレンジのTシャツを着た人々が集まっていて、公園はオレンジ色に染まっています。がん闘病中の元BBCニュースキャスターも応援に駆けつけていました。

地図と水とスナックとビニール雨合羽などを無料でもらって、フェイスペインティングまでしてもらって、いざ出発!

ちょっと歩くとチェルシーFCのホームグラウンドが。

ちなみにこの辺りは、Fulham というのですが、「フルハム」じゃないですからね! 日本のメディアでは、未だに「フルハム」と書かれているのを見かけるのですが、 hは発音しないので、強いてカタカナで書くなら「フラム」です。バッキンガム宮殿をバッキングハム宮殿と言わないのと同じ。そこんとこ、よろしくお願いします。

歩道にはたくさんのボランティアの方たちがいて、道案内や応援をしてくれます。1マイルごとに看板もあります。

山道じゃない舗装された道路を歩くので、5マイル付近の最初のチェックポイントまでは楽勝楽勝。 トイレに行ったり小休憩します。

そして再び歩き出します。

参加者たちがなぜ歩くのか、理由は様々です。 ほとんどの人は理由を書いた紙を背中に貼って歩いているので、「あ~、この人はこんなに若いのに奥さんを亡くされただな」とか「闘病中のお友達のために歩いているんだな」とか分かるわけです。 ひとつひとつのメッセージは重いのですが、そこにはジメジメした空気は全くなく、むしろお祭り騒ぎになっています。仮装は当たり前、お友達を誘い合ってグループでワイワイ楽しみながら歩いています。

沿道で応援してくれる人たちもいました。クラクッションを鳴らして応援してくれる車や、拍手をしてくれる人たち。嬉しかったです。

途中で休憩したり、お昼を食べたりしながら(パブで一杯飲んでる人たちも)ペースは落とさずにどんどん歩いて行くと、10マイルを過ぎたあたりから足が痛くなってきました。今まで靴擦れなんかしたことない履き心地最高のランニング・シューズを履いていても、いろんなところが靴擦れしてきます。

子供やお年寄りなど、長距離が難しい人たちは最後の5マイルだけ歩くということも出来ます。5マイル・コースの出発地点では、地元の吹奏楽団の演奏もありました。

目的地まであと3マイルの辺りから、左の膝の裏が痛くてヤバい感じに。そこからはペースをぐっと落として歩きました。みんなスタスタ歩いていて、たくさんの人に追い抜かれました。お母さん頑張れ!あと少しだよ!なんて子供たちに励まされても、年寄り扱いされているようで、余計にイラっ!もうこの辺は地元だから、あと少しなのは十分分かっている、分かっているからゆっくり歩きたいのよ~。

辛くてもゴールまで到着しなくては、寄付をしてくれた友人たちに申し訳ない!最後はそういう気持ちになりました。ガクガクの足を引きずるように歩いて、ようやくゴール!約6時間かかりました。もっとかかるかなと思ってたので、初めてにしては頑張った方だと思います。私ひとりだったら、もっと時間がかかっていたでしょう。

到着すると、メダルがもらえます。ボランティアの人が、ただ手渡すのでなく、首にかけてくれたのが嬉しかったです。ちょっと涙ちょちょ切れそうに。

今回のチャリティ・ウォークをやろうと言い出したのは私でした。数年前からバラバラになっていた家族が元に戻ったのを記念して、家族4人で何か一緒に達成できるものがしたいと思っていたのです。その目的は完璧に達成されました。みんな、ありがとう!

イギリスにおけるチャリティ活動

私がイギリスに来たばかりの頃、知り合いのティーンエイジャーの女の子から、「旅行資金を集めるために歩くのでスポンサーになって欲しい」と言われて、何のことやらさっぱり分からなかったことがあります。え?なんで歩くの?それ旅行と全く関係無くね?で、何で歩くことがお金になるの?

こんな風に、イギリスでは何かお金を集めたいときに、その理由と直接関係ないことであっても何らしかの努力をして、それに寄付と言う形で応援してもらうという習慣があります。確かに募金箱をかかえて街角に立つよりも効果的です。(あれは見ている方も辛い・・・)頼まれる方も、こういうのは日常茶飯事なので気軽にホイホイと出してくれます。もちろん金額は少なくて良いのです。そうでなければ頼む方も気軽に頼めません。塵も積もれば山となる方式です。

有名なロンドン・マラソンに代表される、イギリス各地のマラソン/ハーフ・マラソンの大会でも、参加者は大抵どこかのチャリティ団体を支援しています。

子供たちもよく、予算の少ない学校の資金集めのためにいろいろやらされています。例えば縄跳びを10回跳んだとか、本をたくさん読んだとか、大した苦労もなく達成できるようなことで、周りの大人たちから小金をせびります。もちろん、日本のバザーみたいに物を売って資金を集めるという方法もあって、私はそっちの方がしっくりくるんですけどね。

「歩く」とか「走る」とか、はたまた「泳ぐ」とか、直接誰かの利益にはならないことをしてお金を頂くというのは、実は私は今でもちょっと居心地悪い気分になるのです。元々自分がケチな性分なので、よそ様にお金を頂くことに罪悪感があるというか。こんなことする私って偉いでしょって自慢してるみたいだし。形になるものを売ったりするのなら、全然平気なのですが。

でも、イギリスの人たちは本当に気前よく、どんなチャリティでも知り合いがやってると聞けばホイホイ出してくれます。その気持ち良いほどの「チャリティ当たり前感覚」に文化の違いを感じます。

もちろん、多様な価値観を尊重する国ですから、チャリティ募金はしない主義の人もいます。そういう人たちは誰かに寄付を頼まれても無視しているし、しないことに不都合も感じていないようですね。私のように「良く知らない人だけど同僚がやってるから私もしないといけないかな?」とか「金額も周りと合わせないと」なんていう日本人的な心配はしていないようです。

今回、自分で実際にそれを体験してみて、変な心配はせずに、寄付する方もされる方も、自分がやりたいときにやりたいだけ、好きなようにやっていいんだと思いました。

この国にはNHSがあって、一般の人たちは医療を無料で受けられるシステムになっていますが、病院の資金源である国の予算はどんどん減らされ、医療現場は常に危機的状況のようです。だからこそ、こういうチャリティ活動が病院を支えているのかもしれません。私が受けた数々の治療も、私自身は一銭も払っていませんが、誰かの支援のお陰だったかもしれないと思うと、頭が下がります。

歩きたい人が歩いて、寄付したい人が寄付して、誰かの役に立つのならそれでウィンウィン。そうか、そういうことなのね~。

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About the Author: ふあにゃん

趣味でピアノを弾いていたら知人から教えてほしいと頼まれたのがきっかけで、いつのまにか職業になってました。東京都出身、在英20年超、ロンドンの南の端っこ在住、常に貧乏。好きなテレビ番組は「5時に夢中!」。

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