死神の目;第3の目が開いていた時の話2

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おはようございます。スメラルダです。

先日の死神の目の話の続きです。が、ちょっと職場の背景を説明。職場では病院と薬局の連携がとても大切でお互いにスタッフは顔見知りです。こちら側の事務員Kさんなどは臨時で病院のお手伝いに行くほど病院側とは長い付き合いがあるようでした。しかし、私は入社したばかりで全員の病院側の事務の方々と面識があるわけではありません。ドクターも院長をはじめ常勤のドクターくらいが声見知り顔見知りくらいで、個人的に話したことはありません。

ある土曜日、嵐も収まりつつあり雑談も出るほどゆとりが出てきた薬局内です。それぞれ少しずつ片付けを始めているところでした。

そこへ病院の事務の制服を着たキラッキラの美人さんが処方箋を持って入ってきました。

薔薇背負ってる!あの時の眩しさは今でも忘れません。とんでもない美貌なんです。スタイルも抜群。

「これで処方箋最後です!」 美しさに圧倒され周りは時間が止まったようでしたが、私はサクサク薬歴を取り出しました。

それと同時にH薬局長はキリッと微笑み「こちらへご記入ください(キリリッ)」と言いつつデレーっと新規患者さん用の記入用紙を渡しています。 私はすかさず、

「Hさん、これです, 薬歴出てます」

事務員のKさんが横から「スメちゃん新患よ、新しい事務の方だから」

えええ。。でも薬歴が、名前が。。。。「あの、あの、ぁ。。」

どいいぃぃぃんん 

「スメラルダくん、そこを退きたまえ(美人は俺担当)」とHさんは軽く私を押しのけ、薬を集めてくるように言いました。 私は混乱したまま薬を集めながら。

ー確かに彼女の薬歴なのになーー 違うか・・

新規登録の用紙には生年月日が同じでも違う名前が書いてありました。

薬局の男性陣は薔薇の周りに群がり、色めき立っていました。しかしその隙間から薔薇が向きを変えまっすぐに私を見て「よろしくお願いします」と言いました。私は考えてる事が見透かされたようでドギマギし、さらに美人光線強すぎてクラクラでろくに挨拶もできません。

事務のKさんだけはいつも通り優しく私の横で微笑んでいます。

男性陣の大騒ぎの中、土曜の薬局は無事終了。とっとと帰れる嬉しさでこのことはしばらく忘れていました。

しかし数週間が経ち夜遅いシフトに入っている時、静かな薬局でふとあの死神の目が出した薬歴のことを思い出しました。「ちょっと質問してきます」薬歴を持って病院へ。

同じく遅いシフトに入っていたベテラン看護婦さんに「この方のカルテ見せていただけますか?」病院は患者情報の守秘義務があるので期待せず聞いてみると、

どいいいいいいいいいぃぃんん 

ベテラン看護婦さんは軽く私を突き飛ばして言いました。

「やだスメちゃんダメダメ これ○○先生の彼女のだから」

しぃぃーーーっと指を口に当てる仕草をしながら、声はそんなに小さくなってないよ。。

なるほど。。まだまだ若かった20代の私、大人の世界の不潔癖(そんな言葉あるの?)な事情にがっかり。。あの大先生のがねぇ。。愛人か。。そっか。。

そっかそっか、お前もか的な落胆を覚えた記憶があります。

ベテラン看護婦さんは、いつ頃から、とか どこで知り合ったらしいとか、いろいろ教えてくれましたが顔だけは見たことないそうです。いつも処方だけしてもらい、保険を使わず自費で大先生が薬をそっと持って帰っていたのでした。

看護婦さんの話は正直な話でした。

だってすぐそばに薔薇の彼女が遅番勤務でいても話を止めませんでしたから。

この話、そこの本人に聞こえてるんじゃないかしら。。

私は一通り話を聞き、さらに今度飲みに行く約束までして薬局へ。事務所の前を通り過ぎると、「お疲れ様です」と薔薇がまたまた美人光線発射。

「お邪魔しましたっ」小走りで薬局へ逃げ帰りました。

薬局へ帰って薔薇の彼女の薬歴と死神の目が出した薬歴を見比べて登録してある住所が同じことを確認・・・ふうううううん。。

その日を最後に古い方の薬歴は探しても見当たらなくなりました。薬局内で事情を知っている人が廃棄したのかもしれませんが、

そこはあえて突っ込みません。

その秋の病院のゴルフコンペで、大先生、病院の事務長、薔薇、私が同じ組になったことを知った早朝。

’’無理無理無理無理無理!!組み替えして欲しい!!!’’と懇願する私に能天気な薬局長は

「スメラルダ君、薬局代表だ、くれぐれも粗相のないように」

緊張から石のように固まってしまっている私を尻目にスタート直後、異常にいちゃつく二人。事務長もグルなんでしょうねぇ。。サイボーグのように何も言いません。

大「ほらほら薔薇くん、そんな馴れ馴れしくして、スメさんが驚いちゃうよ」

薔「大丈夫よね、スメちゃん。知ってるから」美人光線Max 焼き切れるよほんと・・・

大「・・・え?そうなの?どうして?誰に聞いたの?」

事務長の眼光が鋭く刺さります。

す「あの、あの、あの・・・」

結局、美しい薔薇さんが留学費用と称する結構な額の手切れ金を受け取り、ベルギーに出発するまでを見届けました。20代の私には胸の痛い修羅場も散見されました。

大「青い目の子が欲しいんだってさ」と寂しげに笑って言っていました。

今なら言いますけどね「はは、ただ単にむしり取られただけ」

彼女は無事青い目のご主人をゲットしベルギーにいるのでしょうか。

消息は全くわかりませんが、お美しく、お元気で青い目の子と暮らしていることを願うばかり。

いや、絶対元気だと思いますね。

すっごいタフでしたから。ベルギー王室に入れる勢い。

話がだいぶそれましたが、死神の目の話はこれでおしまい。

今は何も見えませんしね。

さあ!!迎えるは2020年の新年。来年こそUFOでの宇宙探訪記をここで皆様にご報告できるのでは、と楽しみにしております。

そうそう、それとイギリスらしい地に足がついたお話だってあるんですよ。

最後に

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About the Author: Smeralda

東京都出身。ロンドン郊外在住。読書、読むこと大好き。家事の才能はなし。ほぼ運転手さんの日常。たまーにUFOみたりする。みんなに支えられてるんだなと深く実感してるこの頃。

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