イギリスで中古車を買うなら「疑う」ことから始めよ。ロンドンでの死闘と、絶対失敗しないためのチェックリスト

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こんにちは、ロンドン在住の皆さん、そしてこれから渡英される皆さん。
突然ですが、イギリスの中古車ディーラーを信じていますか?
「日本と同じ感覚でしょ? お客さんだから優しくしてくれるよね?」
…甘い。
イギリスの中古車市場は、まさに「Buyer Beware(買い手責任)」の荒野。
笑顔の裏には「現状渡し」のナイフが隠され、握手の裏では「保証外」のハンコが押される。そんな世界です。
先日、私が北ロンドンの郊外まで遠征し、中古車を購入した際の実録ドキュメントをお届けします。
若手セールスマンのらりくらり戦法、ボスキャラ(マネージャー)の登場。
このレポートを読めば、あなたの1万ポンド、いや2万ポンドが守られるかもしれません。

目次

  • 戦場への入場:サウスロンドンのディーラーにて
  • 第一の罠:年式のミステリー「2020年製なのに2022年登録?」
  • 第二の罠:消耗品は見て見ぬふり「タイヤと鍵の攻防」
  • 第三の罠:EV走行距離は「神のみぞ知る」
  • ボスキャラ登場:マネージャーとの「保証(Warranty)」戦争
  • 最終決戦:事務処理と支払いの儀式
  • 【完全保存版】イギリス中古車購入・鬼のチェックリスト
  • まとめ:信じるな、確認せよ
  1. 戦場への入場;北ロンドンのディーラーにて
    ロンドン中心部から電車とバスを乗り継ぎ、やってきたのは北ロンドン。
    狙いは日本車プラグインハイブリッド。世界最高峰の日本車という、知る人ぞ知る名車です。
    店に着くと、担当の若手セールスマン(仮名:Omar)が現れました。
    「いらっしゃいませ!遠くからどうも!」
    非常に愛想が良い。ここまでは順調です。
    しかし、車を見た瞬間、私の中の「中年日本人・品質管理モード」が発動しました。
    「ん? 左リアのタイヤ、溝なくない?」
    「あれ、鍵一本しかないの?」
    ここから、長い長い午後の戦いが始まったのです。
  2. 第一の罠:年式のミステリー「2020年製なのに2022年登録?」
    まず最初にぶつかった壁。
    私が事前に車のVINナンバー(車台番号)をアプリでチェックしたところ、画面には無情にも「2020 Model」の文字が。 しかし、ディーラーが提示するLogbook(V5C登録証)には「2022年登録」とある。
    私:「これ、2020年製造じゃない? なんで登録が2022年なの? 2年間どこにいたの?」
    Omar:「いやいやSir、これは政府の書類(Logbook)ですよ。ここには2022って書いてあるでしょ? 政府が正しいんです!」
    これ、イギリスあるあるです。
    輸入車や長期在庫車の場合、製造年と登録年(ナンバープレートの年式)がズレることがあります。
    TFL(ロンドン交通局)のULEZ(超低排出ゾーン)基準などは「登録日」で見られますが、リセールバリューは「製造年」で判断されることもある。
    ここでの教訓:
    ディーラーの言う「政府の書類」は、あくまで「いつナンバーがついたか」しか証明しません。
    結局、OmarはHPIチェック(公式の車両履歴確認)のレポートを印刷してきました。そこには「事故歴なし」「盗難歴なし」「2022年登録」の文字。
    「ほら見てくださいよ!公式データですよ!」
    とドヤ顔されましたが、「疑ってかかって証拠を出させる」。これが正解です。口頭の説明だけで納得してはいけません。
  3. 第二の罠:消耗品は見て見ぬふり「タイヤと鍵の攻防」
    車体をチェックしていると、明らかなマイナスポイントを発見。左リアタイヤの摩耗:スリップサインが見えそう。しかも無名ブランドのタイヤ。鍵が1本:スペアキーがない。
    私:「タイヤ交換しなきゃだし、スペアキー作るのに数万円かかるよね。値引きしてよ」
    Omar:「うーん、マネージャーに聞いてみます…」
    イギリスの中古車は、基本的に「Sold as Seen(現状渡し)」です。
    日本のように「納車前にタイヤ新品にしときました!」なんてサービスは、高級認定中古車以外では期待してはいけません。
    「中古車だから鍵が1本なのは普通だよ(Usually one key)」
    とか平気で言ってきますが、普通じゃありません。
    最近のスマートキーは作成に200ポンド〜300ポンド(約4万〜6万円)かかります。
    私はここで、具体的な金額(£1000の値引き)をふっかけました。
    もちろん断られますが、これが後の交渉の布石になるのです。
  4. 第三の罠:EV走行距離は「神のみぞ知る」
    PHEV(プラグインハイブリッド)を買う最大の理由は「電気だけでどれくらい走れるか」ですよね。
    カタログ値は75km(約46マイル)ですが、実際はどうなのか。
    私:「フル充電で何マイル走るか、書面(Invoice)に書いてくれる?」
    Omar:「いやー、それは無理っす。ウェブサイト見てくださいよ。中古車なんで保証できないっす」
    出た!「書面拒否」!
    彼らは後で訴えられるのを恐れ、コンディションに関する具体的な数字を絶対に書面に残そうとしません。
    「僕のBMW i7なんてさ、朝起きたら…」と自分の車の話で誤魔化そうとしますが、そんな雑談に付き合ってはいけません。
    教訓:
    「書面に残せない」=「保証しない」という意味です。
    バッテリーの状態は、試乗時に自分でメーターを確認するしかありません。私は試乗中にモードを切り替え、減り具合を目視で確認しました。自分の目だけが頼りです。
  5. ボスキャラ登場:マネージャーHassanとの「保証(Warranty)」戦争
    値引き交渉が難航すると、奥から真打ち登場。マネージャーのHassan(仮名)です。
    彼は典型的な「Good Cop, Bad Cop」の役割を果たしに来ました。
    Hassan:「やあ、君。値引き希望なんだって? うちは全英で一番安い設定にしてるから、普段は値引きしないんだ(キリッ)」
    出ました、「うちはすでに最安値」理論。
    しかし、ここからが彼のターンです。
    Hassan:「でも、君のために特別な提案がある。延長保証(Extended Warranty)だ。通常£600のところ、安くするから車体価格はそのままでどう?」
    ここから延々と続く保証のセールストーク。
    「エアコンも、エンジンも、ハイブリッドバッテリーも、サスペンションもカバーする! 全国のVAT登録ガレージで使える! 最高だろ?」
    ここが最大の落とし穴です。
    サードパーティの保証(AutoProtectなど)は、いざ故障したときに「それは経年劣化(Wear and Tear)だから対象外」と言われるケースが山ほどあります。
    しかも、£600近い追加出費。
    私はきっぱり言いました。
    「Warrantyはいらない。その代わり、車体価格を下げてくれ。現金(銀行振込)で今日払う」
    私:「300ポンド引きでどう?」
    Hassan:「……(電卓を叩く)。よし、わかった。ただし現状渡しだぞ」
    勝利です。
    「保証という名の商品」を買わせようとする相手に対し、「現金即決」という武器でシンプルに車体値引きを勝ち取りました。
    不要なオプションは、どんなに「お得だ」と言われても断る勇気。これが大事です。
  6. 最終決戦:事務処理と支払いの儀式
    価格が決まれば、あとは事務処理。
    ここでもイギリスらしさが炸裂します。支払いは銀行振込(Bank Transfer)のみ:カードは手数料がかかるから嫌がられます。Road Tax(自動車税)はその場で:店員がやるふりをしてくれますが、実際は自分のスマホでDVLAのサイトから支払う必要があります。保険:店を出る瞬間に保険がかかっていないと違法です。「5日間無料保険(Drive away insurance)」がついている場合もありますが、今回はセールスマンはついているといったのですが、事務の女性はついていないと言って、ここはもう戦う体力がなかったので、その場で自分の保険を切り替えました。
    事務の女性は非常に手際が良く、Logbook(V5C)の所有者変更もオンラインでサクッと完了。
    最後に、新品の充電ケーブル(最初は「ない」と言われていた)も無事ゲット。
    「ない」と言われても、「いや、あるはずだ。探してくれ」と言うと、奥から出てくる。
    これがイギリスです。

【完全保存版】イギリス中古車購入・鬼のチェックリスト

さて、私の武勇伝はこれくらいにして、皆さんが明日から使える「絶対にカモられないためのチェックリスト」を授けます。
スマホにメモして、ディーラーの目の前でこれ見よがしにチェックしてください。

  • ① 事前準備(家でやること)
  • [ ] MOT History Check(車検履歴)
  • 政府公式サイト(無料)でナンバーを入力。過去の故障箇所(Advisory)を確認。
  • キーワード:Corrosion(サビ)、Tyre worn(タイヤ摩耗)があったら要注意。
  • [ ] HPI Check(有料だが必須)VINナンバーを確認
  • 事故歴(Category S/N)、盗難歴、ファイナンス残債(借金)がないか確認。数ポンドをケチって数万ポンドを失うな。
  • [ ] 相場確認
  • AutoTraderで同車種・同年式・同走行距離の最安値を把握。「うちは最安値」という嘘を見抜くため。
    ② 現車確認(現場でやること)
  • [ ] タイヤ全数チェック
  • 溝の深さ(1.6mm以下は違法だが、3mm以下なら値引き材料)。
  • タイヤブランド(前後左右で違うメーカーなら、適当に維持されていた証拠)。
  • [ ] 鍵の本数
  • 「2本あるか?」必ず聞く。なければ£200〜£300の値引き要求。
  • [ ] ボディワークとホイール
  • ホイールのガリ傷(Alloy kerb damage)。
  • パネルの隙間(事故車の可能性)。
  • [ ] エアコンと電装系
  • 冷房・暖房が効くか。窓は全部開くか。
  • イギリス人は冬でもエアコンを使わない人が多く、壊れていても気づかないことが多い。
  • [ ] オイルと冷却水
  • ボンネットを開けて、オイルレベルと色、クーラントの漏れ跡(ピンクや緑の粉)がないか。
    ③ 書類とデータ(事務的なこと)
  • [ ] V5C(Logbook)の照合
  • VINナンバーと車体の刻印が一致しているか。
  • 登録日と製造年の確認。
  • [ ] サービスヒストリー(整備記録簿)
  • 「Full Service History」と書いてあっても、スタンプが抜けていることがある。実物を見て日付を確認。
  • [ ] PHEV/EVの場合
  • 充電ケーブルの有無(Type 2と3ピンの両方があるか)。
    ④ 交渉の極意
  • [ ] 「今日乗って帰る(Drive away today)」
  • これが最強の殺し文句。彼らは在庫を早く掃きたい。
  • [ ] 不要な保証は断固拒否
  • 「自分でディーラー保証に入るからいい」と言えばOK。
  • [ ] 「Walk away(帰るふり)」
  • 条件が合わなければ席を立つ。追いかけてくれば勝ち、こなければ縁がなかっただけ。

まとめ:信じるな、確認せよ

今回の日本車プラグインハイブリッド購入劇、最終的には希望額に近い額で購入し、新品ケーブルも手に入れ、会社名義でのインボイスも発行してもらいました。
決して彼らが悪徳業者だったわけではありません。
むしろ、イギリスの中古車業界では「標準的」な対応でした。
彼らは商売人であり、利益を最大化しようとするのは当然です。
だからこそ、買う側が「知識」と「疑う心」で武装しなければなりません。
「Nice car!」という笑顔に騙されず、
「Don’t worry!」という言葉を疑い、
泥臭くタイヤの溝を覗き込む。
それが、イギリスで良い車に出会うための唯一の作法です。
さあ、皆さんもこのチェックリストを片手に、週末の戦場(ディーラー)へ向かってください。
健闘を祈ります!
P.S.
帰りのM25(環状高速道路)で、さっそくアダプティブクルーズコントロールを試しましたが、最高でした。
苦労して手に入れた車ほど、可愛いものはありませんね。

(この記事は筆者の実体験に基づきますが、全ての取引において同じ結果を保証するものではありません。)

おわり

    • イギリス 中古車 購入 注意点
    • UK Used Car Buying Guide
    • V5C Logbook チェック
    • MOT History 履歴
    • HPI Check とは
    • PHEV 中古車 チェックポイント
    • PHEV
    • ロンドン ディーラー 値引き交渉

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    About the Author: ジゴロッキー

    2001年よりロンドンで活動。夢は悟ること。国籍日本。解決方法:時間。

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