家族を失うリスク2-演劇を見て思ったこと

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ロンドンミュージカルといえばロングランとして10年以上続いているミュージカルは数多く、ものすごい人気です。しかし、このミュージカルは、断続的ではあるものの、1964年を皮切りに50年以上受け継がれているミュージカルなのです。

Fiddler on the Roof

「Fiddler on the roof」の背景となる、1905年作品の本があるようですが、そのストーリーが劇場で披露されたのが1930年。それも踏まえると90年近く演劇が行われていることになります。すごいことですね。

ストーリーの内容は現在のウクライナにあるユダヤ人のコミュニティのある1家族のお父さんが主体となって、その家族の革命的時期を描いた話です。

話の内容は、家族には5人の娘がいて、上の3人がお婿さんを探そうとしていいます。この時代の結婚は今のように好きなもの同士が自由に結婚できるという環境ではありませんでした。ましてやユダヤ人コミュニティの小さな村で、外部のものと結婚するなんて考えられないことでした。多くが同じ宗教の近所の相手を探して結婚します。その相手を見つける結婚斡旋的な趣味を持ったおばちゃんもいました。

そして、気の強いお父さんは、娘たちに結婚相手を選ばせる権利を与えないほどの、頑固オヤジでした。このお父さんとは限らずに、この時代は、親が子供の結婚相手を選ぶというのは、日本でもあった話ではないでしょうか。そんな中、娘たちは思い思いに自分の好みの男性を見つけ、お父さんの意に反抗します。

伝統を重んじる父親に、新時代だと言って反抗する娘たち。どちらが正しいのか、どうなれば家族にとって幸せなのか、選択に悩まされる父親。お父さんの心境を描きながら、家族のメンバーそれぞれが歌って楽しく、そして悲しく展開する素晴らしい作品です。

Playhouse Theatre London

1882年にオープンの歴史あるロンドンでも有名な劇場で、トラファルガースクエアからテムズ川へ向かう道の途中にあります。期間限定物がよく上演されて、今回の作品もその一つです。昔の建物の作りとあって、劇場内はこじんまりとしていて、ステージが近く、迫力があります。いきなり劇場は苦手という方は、映画も1971年に作成されているので、まずは映画を見てみるのもいいかもしれません。

https://playhouse.londontheatres.co.uk

お父さんと娘たち(ネタバレ 閲覧注意)

話の内容がわかってしまうのでここから読む人はネタバレにご注意ください。しかし、ミュージカルはネタを知っていても何度も楽しめるという観点からは、話の内容を把握していてもいいかもしれません。

伝統を重んじるユダヤ教のコミュニティに住む家族での出来事の話ですが、長女はお金持ちの肉屋のおじちゃん(父親より年上)と、両親の同意のもと結婚を迫られますが、貧しい洋服の仕立て屋と恋をしていて、長女は拒否します。ここで父親からの圧力がありますが、父親は娘が嫌だというなら仕方ないと、考えを変え、貧しい仕立て屋との結婚を認めます。

次女は都会のキエフから来た学生に恋をして、政治活動にキエフに帰るというその学生についていこうとします。それにも猛反対のお父さん。娘を村から出すなど許しません。そこでも次女の押し切りで、父親は、それが娘の幸せならばと、考えを変え、都会に出て行く学生との結婚を認めます。

三女は、その頃、その村を統治していたロシア勢力の軍人と恋に落ちます。ユダヤ人の彼らにとって、異教徒と結婚するなんて考えられなかった上に、ましてや、敵のロシア軍の一員と結婚なんて考えられませんでした。こちらも父親の猛反対で、許しませんでした。これだけは許せないと、考えを変えずにいたら、三女は家を出て行ってしまいました。

父親の困惑

父親は「伝統」を重んじていたが、「新時代」を受け入れたために娘たちが家からいなくなってしまいます。何年もかけて、可愛く育てた娘たちが一気にいなくなってしまって、辛い思いをする父親。神様にも時々問いかけます。「どうしてこうなるんだ?」と。

しかし、娘の幸せを思うようになってくると、神様への問いかけも変わっていきます。「しっかり面倒見てくれよ。娘が寒くてお腹をすかすような思いはさせるなよ!」って。

そうです。父親は新時代を受け入れるのです。娘たちを家から失って、とても悲しいお話ですが、最後は家族を失っていくお父さんが自分なりに頑張って考えて娘たちの旅立ちを認めます。そして、ロシア軍の圧力で最後は自分も村から出て行かなくてはなりません。アメリカに向かいます。父親も自分で新時代を探さなければいけなくなるというところで話は終わりです。

まとめ

家族を失うリスクは子供を自由にする上でも起こってしまいます。ただし、それは子供にとっての幸せを考えると、避けられないことだと思います。親を離れた子供は、それなりに違った視点で学び、親の大切さを知ることもできます。いつか親に幸せを持ち帰ってきてくれるかもしれません。それは確信できません。しかし、それ以上に、子供が幸せを感じることが、親にとっての最高の幸せなのかもしれません。


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About the Author: ジゴロッキー

2001年よりロンドンで活動。夢は悟ること。国籍日本。解決方法:時間。

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